60mバンド インフォメーション
Jun 13, 2009
結論から先にお話しします
 以前、CQ誌にも投稿した60mバンド(5.3MHz帯)の運用についてですが、パラオ政府( Ministry of Public Infrastructure, Industries & Commerce )の山下さんから、日本語で免許しない旨、書簡にて回答がありました。つまり、現在JICAのシニアボランティアが業務に就いています。なぜお名前を出すかですが、最近アジアのとある国でいろいろありましたので、「全く関係の無い人が、あらぬ誤解を受けないように。」という意味です。

 ご説明によると、

@
60mの第3地域での運用は、(アマチュア局に)割り当てが無い。
A
アマチュアバンドとして割り当てを希望する場合は、第3地域の各国の同意が必要になると思われる。

 とのことで、これは正論です。グアムとサイパンがイレギュラーなのは事実です。つまり、「第3地域にアマチュアバンドとしての割り当てが無くても、問題が無いと判断した(もしくは、そこまで慎重に考えていないかも知れない。)アメリカと同じ基準ではありません。」と誰かが言ってしまうと、その正論通りになってしまいます。

 私が60mのライセンスを取得したのは、期間限定の免許であって、運用後の報告(ようするに、調査報告,実験報告)を行う提案をした結果です。そして、「運用に問題はありません。但し、通信ではない大陸からのバズ音により、使用はきわめて困難です。」と報告を行い、可能であれば、60mバンドを解放して頂けませんか? と書簡を送ったわけです。その結果が、@,Aですから、60mの運用に問題がある,無いという判断ではなく、正論になってしまいましたので、正論はその名の通り正しいので、もう免許されないだろうという予測も間違いではないでしょう。

 ただ、本気で運用しても、せいぜんアメリカ本土の10〜20局位しかQSO出来ないでしょう。今まで、サイパンやグアムも含めて、数日の60mの運用で、10局以上QSOした人を私は知りません。なんせ大陸からのバズ音が酷く、ノイズジェネレーターの信号を聞いているような状態です。パラオで聞く60mは、常にS5〜9のバズ音が聞こえます。その合間を縫って、何局かWとQSOが出来るわけですが、それは一桁です。そして片手です。つまり、苦労してアンテナをセットアップしても、せいぜい5局もQSO出来ないのが現実です。

 正直に言うと、60mは、お熱を上げることでもないと思います。下手すれば、ゼロQSOになってしまうでしょう。現段階では1つの結果が得られましたので、ご報告させて頂きました。




パラオ レディオライセンス取得情報
Jun 23, 2009
ライセンス申請書類の書式が変更になっています
 パラオのライセンス申請書式が変更になっています。旧書式との違いは、電話番号,FAX番号,Eメールアドレスの記入欄が増えたことです。新書式は、パラオの電波局(Division of Transportation and Communication )にSASEを送って入手して下さい。US2ドルも同封すれば十分です。パラオではIRCは紙切れです。効力がありませんのでご注意下さい。

コロールの電波局は、新首都マルキョクに移転しています
 昔からパラオに行かれている人はお気を付け下さい。コロールの警察署横の電波局は、全て新首都であるマルキョクのホワイトハウスに移転しています。コロールには事務所が残っており、コロール−マルキョク間はメール便がありますが、現地に行ってからそのメール便に期待しても、もう手遅れです。マルキョクの電波局に出向かなければなりません。コロールからマルキョクまでは、車で片道40分位です。道路は複雑ではありませんので、右側通行で運転できる方はレンタカーを借りるのがベストです。タクシーで行かれる際は、到着したらドライバーにチップを払って、「ここで待っていて下さい。」と言って下さい。ホワイトハウス周辺はなにもありませんので、ライセンスを受け取ったら、帰りは流しのタクシーは絶対に捕まらないと思って下さい。どうしようもない時は、ホワイトハウスで呼んでもらうしかありません。

パラオのコールサイン
 パラオは、通常のコールサインとスペシャルコールサインが免許されており、スペシャルコールサインもルール化されています。

@
通常のコールサイン:
T88AA〜T88ZZ までの676通りのコールサインから、免許される。

1)
日本の4アマ〜1アマまで、ライセンスクラス不問で免許される。

同様に、日本人がアメリカのFCCライセンスで申請しても、テクニシャン〜エクストラまでライセンスクラス不問で免許される。

2)
パラオのライセンスクラスは、ジェネラルクラス 1つのみ。

従って、どのようなライセンスクラスを基に申請しても、発行されたライセンスはジェネラルクラスとなる。

3)
クラブ局の免許は認められない。

4)
一人で2局以上のコールサインを取得することは出来ない。

黙って申請すると、当然見抜かれる。パラオの電波局は、申請の都度、名前でライセンスに重複がないか確認している。

5)
リサイクルコールサイン(再割り当てのコールサイン)を採用。

それまでの免許人がライセンスを失効して一定時間が経過すると、そのコールサインは次の申請者に再割り当てされる。尚、その一定期間に明確な規定はない。通常、1年位ではないかと思う。

6)
ライセンスの有効期間は1年間。更新も可能。ライセンス書式は、FCCライセンスの書式に準拠している。(昔のカード型ライセンスは廃止。)

7)
コールサインはリクセストすることもリクエストしないことも出来る。

料金の詳細は以下の通り。
7−1) 新規申請:60ドル/年
7−2) ライセンスの更新:20ドル/年

8)
ライセンス申請に必要な書類は以下の通り。

8−1) 日本の従事者免許の英文証明 (コピーで可 = 電波局に確認済み)
8−2) 日本の局免許の英文証明 (コピーで可 = 電波局に確認済み)
8−3) パスポートの顔写真のページのコピー
8−4) アプリケーションフォーム (新書式の申請書)
8−5) コールサインを希望する場合は、希望するコールサインのリスト (書式不問)
8−6) そして、ご挨拶の手紙と必要なライセンスフィー

ここで、日本の従免と局免自体のコピーは不要。もしあなたがアメリカのFCCライセンスを所持しているなら、8−1),8−2)は不要。アメリカのFCCライセンスのコピーに差し替えればOK.

また、ご挨拶の手紙に渡航予定を説明するのは常識ですが、パスポートは、ライセンス申請時と渡航予定時に有効な物を用いて申請を行って下さい。パスポートの有効期限が押し迫っている方は、必要に応じてパスポートを更新して下さい。

更に、総通には渡航予定時にパスポートが切れる場合、日本の従免と局免の英文証明は発行しません。申請書類を返却されてしまいますので、いずれにしても、パスポートは余裕を持って更新する必要があります。

それから、以前パラオのレディオライセンスを取得した事がある方はご注意下さい。以前は、Mailing Addressをパラオの宿泊する住所としてライセンス申請をすることが出来ましたが、今は居住している住所の郵便住所をライセンス申請書に記入するように指摘されます。従って、通常は(パラオに住んでいなければ)Mailing Addressは日本の郵便住所を記入しなければなりません。

A
スペシャルコールサイン:
今までの経緯として、T80A〜Z までの26通りがクラブ局として免許され、T8AA〜T8ZZ までの676通りのコールサインが個人局とクラブ局として免許されている。

1)
◆T80A〜Z:(グループコールサイン)
原則として、@の通常のコールサインの免許人のグループにのみ免許されるコールサインであり、個人には免許されず、2人以上の@の通常のコールサインの免許人のグループに免許されるクラブ局。

今まで、数人が個人局として免許されているが、これには2つの諸事情がある。1つは、パラオへの渡航回数が尋常でなく(2桁)、電波局がその事実を把握している場合。(私が知る限り2人)もう1つは、以前グループコールサインとして免許されたそのコールサインの構成員の一人が免許更新を行い、個人局として引き継がれた場合。(私が知る限り1人)

この2つの諸事情以外に、個人局として免許された例はない。誤解があるようだが、パラオのグループコールサインはクラブ局。それが個人に免許されるのは、ルールに基づかない例外。つまり、通常グループコールサインが個人局として免許されることはあり得ない。

◆T8AA〜ZZ:(スペシャルコールサイン)
原則として、@の通常のコールサインの免許人のグループにのみ免許されるコールサインであり、個人局として免許され、2人以上の@の通常のコールサインの免許人のグループがライセンス申請すれば、クラブ局としても免許される。

2)
クラブ局の場合は、その構成員は複数のクラブ局の掛け持ちが出来る。

2つ以上のクラブ局の構成員になることは可能。既に、何人かそうしている。

3)
リサイクルコールサイン(再割り当てのコールサイン)を採用。

原則として、グループコールサインのライセンスが失効して一定時間が経過すると、そのコールサインは次の申請者に再割り当てされる。尚、その一定期間に明確な規定はない。これに通常は無い。もしかしたら、半月後に再割り当てされているかも知れない。

4)
原則として、ライセンスの有効期間は1週間。但し、パラオでの滞在期間が10日程度であれば、その間を有効期間にしてもらえるようだ。

結果論として、今までは更新は可能であった。これは実質、更新(ライセンスが切れる前に継続申請をする)ではなく、失効したコールサインを復活させて継続している。

補足すると、ITU条例に則った特別コールの定義は、「短期間であれば当事国が特別なコールサインを与えても良い。」であって、パラオのグループコールサインは、ITU条例に則ったアマチュア局のコールサインではない特別なコールサインなので、電波局は免許人に対して、そのコールサインの継続義務は無い。ちなみに、T80のプリフィックスは船舶局向けのプリフィックス。T8**は放送局向けのコールサインだったはず。

お分かり頂けただろうが、これが1週間免許の全容。希少価値で1週間免許ではなく、ITU条例に則っているだけ。

5)
原則として、免許申請人がコールサインをリクエストする

料金の詳細は以下の通り。
5−1) 有効期間1週間のライセンス申請料:120ドル
5−2) ライセンスの更新(実質、復活)は、その都度60ドル/1週間

6)
ライセンス申請に必要な書類は以下の通り。

◆T80A〜Z:(グループコールサイン)
グループコールサインの全構成員分の書類として、
6−1) 有効な通常のコールサイン(T88**)のライセンスのコピー
6−2) パスポートの顔写真のページのコピー (免許期間有効な物)
6−3) アプリケーションフォーム (新書式の申請書)
                         を用意。
グループコールサインの代表者として、
6−4) 希望するコールサインのリスト(書式不問)
6−5) そして、ご挨拶の手紙と必要なライセンスフィー
                          を用意。

◆T8AA〜ZZ:(スペシャルコールサイン)
個人局として申請する場合は、
6−6) 有効な通常のコールサイン(T88**)のライセンスのコピー
6−7) パスポートの顔写真のページのコピー (免許期間有効な物)
6−8) アプリケーションフォーム (新書式の申請書)
6−9) 希望するコールサインのリスト(書式不問)
6−10) そして、ご挨拶の手紙と必要なライセンスフィー
                          を用意。

クラブ局として申請する場合は、全構成員分の書類として、
6−11) 有効な通常のコールサイン(T88**)のライセンスのコピー
6−12) パスポートの顔写真のページのコピー (免許期間有効な物)
6−13) アプリケーションフォーム (新書式の申請書)
                         を用意。
グループコールサインの代表者として、
6−14) 希望するコールサインのリスト(書式不問)
6−15) そして、ご挨拶の手紙と必要なライセンスフィー
                          を用意。

更に、スペシャルコールサインを取得する際は、申請者がパラオの電波局に出向き、スペシャルコールサインの必要性と希望するコールサインの必要性を説明して、審議してもらわなければならない。これは例外なく、そのスペシャルコールサインに携わる誰かが行っている。

 長くなりましたが、以上が私の知る全てです。スペシャルコールサインに関しては、様々な諸事情があることはご理解頂けたと思います。通常、スペシャルコールサインは、誰もライセンス取得をサポートしてくれません。自己責任でトライして頂きたくお願い致します。

個人局のセカンドオペやグループコールサインの免許人以外の運用について
 コンテスト等でT88AA〜ZZの通常のコールサインをマルチオペで使う際は、その旨、必ず電波局に確認をとって下さい。電話でもかまいませんので、必ず確認を取って下さい。恐らく、スペシャルコールサインの取得をを薦められると思います。(これは、スペシャルコールサイン取得の正当な理由になります。)

 今は、T88AA〜ZZの通常のコールサインは、パラオのレディオライセンスを持たない者がセカンドオペで運用する事は出来ないはずです。フォーンパッチとセカンドオペは、根本的に違います。このようなセカンドオペはアメリカでもダメですので、勘違いをしないようにして下さい。このようなセカンドオペを認めてもらうには、電波局に確認をとる必要があります。電話でもかまいませんので、必ず確認を取って下さい。でも、どうかなぁ? 「いいよ!」って言うかなぁ? 今は、パラオのレディオライセンスは有料ですので、無免許よりも”脱税”という解釈をされると思います。恐らく、「全てのオペレーターは、パラオのレディオライセンスを取得して下さい。」と言われるはずです。

 スペシャルコールサインも同様で、原則的にパラオのレディオライセンスを持たない者は運用出来ないはずです。これも、電波局に確認をとって下さい。恐らく、「全てのオペレーターは、パラオのレディオライセンスを取得して下さい。」と言われるはずです。

 なんにせよ、そういった運用をする際は、その都度電波局に確認を取ればよいのです。その時「いいよ!」と言われればよいわけですし、「ダメだよ!」と言われれば、各人がパラオのレディオライセンスを取得するなり、スペシャルコールサインを取得するなりすればよいのです。なにも確認をとらずに運用すれば、無免許というより”脱税”の疑いをかけられます。確認をとって「いいよ!」と言われれば、その際の運用は正当な運用なのです。但し、こういった事は特例ですので、一度「いいよ!」と言われれば、その後永久に「いいよ!」という解釈は間違いです。その運用に限っては「いいよ!」という限定的な許可ですので、解釈を間違わないようにして下さい。筋を通さないと、誰でも遺憾に思うはずです。そういう意味です。

 こういった事は、1つのグループが馬鹿をやると皆が迷惑します(当然、パラオのライセンスシステムにいろいろ制限が加わる。)ので、やるべきことはしっかりやってから運用して下さい。

ライセンスの申請先
 ライセンス申請の準備が整いましたら、以下の住所に申請用紙一式を郵送して下さい。

Mr. Jonathan Temol
Division of Transportation and Communication
P.O.Box 1471,
Koror, PALAU 96940

 ここでポイントは3つです。

@
宛先に、Mr. Jonathan Temol と Division of Transportation and Communication と書いておけば、まず大丈夫だと思います。パラオの政府系の郵便住所は、その全てが P.O.Box 1471 です。つまり、郵便に部署と担当者名がハッキリ書かれていないと、郵便が何処に行ってしまうか分からないのです。そして、配達先が分からずに誰かが郵便を開封すると、その郵便にはドル札が入っているのですから、その先は言わなくてもわかるはずです。

A
PALAUは大文字で大きく書きましょう。今までも、Peru(ペルー)に行ってしまったり、Belarus(ベラルーン → これは私が遭遇)に行ってしまったりしたことがあります。

B
パラオではIRCは使えません。IRCを同封する理由は無いはずですが、同封しても、パラオではただの紙切れですのでゴミ箱行きになります。ご注意下さい。

 ライセンスは、ジョナタン(Jonathan)さんが作成してくれます。申請に問題がなければ、1〜1.5ヶ月位でライセンスが郵送されてくるでしょう。

パラオの郵便事情
 以前は、パラオの電波局(Division of Transportation and Communication)はコロール(私達が宿泊するところ)にありましたが、今は、そのコロールから車で片道40分位かかるマルキョクのホワイトハウスに移転になっていますので、郵送によるライセンス申請で問題起きた場合、現地でライセンスを取得する際にリスクが伴うことを覚悟しなければなりません。

 私自身ここ数年郵送によるライセンス申請は行っていないのですが、最近は郵便事故のお話は聞きません。郵送によるライセンス申請を行ったけれど、音沙汰が無いという方から事情を聞いてみると、今は使われていない昔の P.O.Box 100 に送ってしまったとか、担当者名や部署名を書かずにパラオ政府( Ministry of Public Infrastructure, Industries & Commerce )に送ってしまったなど。既に郵送時にダメが確定しています。

 以前は、私自身も何度か郵便事故に遭遇しましたが、郵便事故で申請書類とライセンス申請料が無くなってしまったら、それは仕方が無いと諦めるしかありません。郵便事故に遭遇しても、再度郵送によるライセンス申請を行うことも出来ますし、何通か郵送申請を行えば、電波局の担当者に届きますので、「そういうもんだ。」とお考え頂いた方が気が楽でしょう。

ライセンス申請は自己責任で
 以上を踏まえて、ライセンス申請における諸問題の遭遇は、自己責任とお考え下さい。

 私も具体的にお聞きしているのですが、郵便事故に遭遇した際、その調査と追求,仕損の返済を旅行会社から電波局に求めるようにリクエストする人がいます。これはおかしいと思いませんか? 旅行会社は探偵でも,郵便局でも,弁護士でも,警察でもないのです。自己責任においての諸問題の遭遇は、正に自己責任であって、ご自分で解決出来ないことを人に調査追求させるのはおかしいですよ。

 どうしても調査追求して欲しいなら、それ相当の対価を支払わなければなりません。パラオで日本人に調査してもらいたいのなら、少なくとも500ドルはご用意頂かないと丸2日間の調査も出来ません。これでお気づき頂かなければならないのですが、これは”無駄”です。パラオの誰に対してでもそうですが、このような調査を依頼しても、「電波局で受け取った記録は無いそうです。」と解答が返ってくるだけです。こういったことに何時までもメールでお付き合いしなければならない旅行会社は、かなり困惑しています。こういったお考えの方は、少し常識を持って頂きたくお願い致します。(と言うより、お願いする話でも無いと思いますが。)